【入院1日目】いよいよ初日② 研修医くんの採血
母が帰ってすぐ、病室へ案内された。
個室を希望したけど空きがなく、と言うより重症の
患者さんが優先なのでごめんね、とのこと。
でも手術後は個室に優先的に入れるから、
もしかしたら明日は移動できるかもと言われた。
前の入院の時もそうだったけど、手術した日の夜ってとても辛いので、できれば個室にして欲しかった。
この病院、大部屋は6人用なんだよね・・・と思っていたら数年前に改装して、多くても4人部屋になり、各部屋にトイレと洗面台、一人一つずつ使える
洋服ダンスみたいなものまで付いていた。
きれいだし、一安心。
ちょうど昼ご飯の時間だったのでのんびり食べていたら、若い男性医師が入ってきた。
「研修医の○○です」と丁寧に挨拶し、手にはいろいろな道具。
「採血させてください」とのこと。
いつもは看護師さんが採血してくれるけど、
ここは大学病院なので入院すると研修医くんが挑戦する。
「挑戦する」と書いたのは、私の腕は採血失敗されることが多いから。「見えない・・・」と絶句されることも多くて、いつもとても申し訳なく思ってしまう。
その点、この大学病院の採血コーナーはベテラン揃いで必ず一発で決めてくれるのでとても助かっていた。
さて、この研修医くんはどうかな??
利き腕は右ですか?と聞かれ、ハイと答えると「じゃ左から」と
言われる。左はレベル高いよ・・・と思いながら差し出す。
案の定、「えっと・・・」とフリーズしている。
「さすっていいですか?」と聞かれたので、やっぱりねと
思いながら「ペチペチ叩いてもいいですよ」と言うが「そんなことできません!」とのこと。
これはムキになっているな、と思って「難しかったら右でも」と伝えるが、頑なに「いや、右は点滴入れるかもしれないから」と左で挑戦。
サクッと入るが、多分失敗していて「出ない!」と慌てている。
そんなところへ先輩医師が様子を見に来た。
左で2回目。
「見えない・・・」と半泣き状態となるが、
先輩はじっと見ていて代わってあげない。
血管の位置を一緒に確認してもう一度刺すがまた失敗。
そうこうしているうちに昼ごはんの食器が下げられてしまった。
デザートのパイン、食べたかったのに。
「左じゃないと・・・」とまだ粘っている。
仕方ないな。
「じゃあ、あと1回やってみてダメだったら右にしてくださいね」と
伝える。研修医くんに「頑張って!」と声をかけたところ、
「優しいお姉さんで良かった。ここで絶対決めます!」と宣言。
サクッ。
「あ!できた!!わあい!!」
・・・喜んでいる場合ではないでしょ。でも、よかったね。
一応、私も会社では部下を育てている立場なので、
「すごいですね。私の左腕から採血できる人、
なかなかいないよ」と言ってあげたところ大満足で帰っていった。
「明日のオペは、僕が迎えに来ますから」とニッコリ。
その後、夜になって隣の病室から例の研修医くんの声がした。
どうやら仲間の研修医が同じように採血できなくて
困っていた様子。「俺、一緒に見てやろうか?」と言う自信満々の声がした。
私、また人を育ててしまったなあ。